2ch.net運営名義変更&「5ちゃんねる」へ名称変更 今後の運用や対策は?

ABOUTこの記事をかいた人

弁護士中澤 佑一

弁護士法人戸田総合法律事務所代表。
ネット関連と知財案件を中心に活動しています。 主著【インターネットにおける誹謗中傷法的対策マニュアル】【「ブラック企業」と呼ばせない!労務管理・風評対策Q&A】

Loki Technology, Inc.への運営権譲渡と5chへの名称変更

従来、フィリピン法人「Race Queen, Inc」によって運営がなされていた電子掲示板「2ちゃんねる」(2ch.net)について、2017年10月1日付で運営権が「Loki Technology, Inc.」に譲渡されたとの発表がありました。

また、同時にサイトの名称も2ちゃんねるから「5ちゃんねる」に変更され、ドメインも「2ch.net」から「5ch.net」へ変更されました。

その理由は? 商標権?

2ちゃんねるについては、2014年より創設者の西村博之氏と、Race Queen, Incおよびその代表であるジム・ワトキンス氏との間で運営を巡る紛争が続いており、西村氏側は「乗っ取り」であるとの主張から、2ch.netの投稿を自動的にコピーする機能を有する新たな2ちゃんねる、2ch.scを立ち上げました。

なお、「2ch.net」というドメインについて、その帰属をめぐる争いも発生しておりましたが、世界知的所有権機関(WIPO)の調停仲裁センターは、2ch.netドメインを西村氏側に移転すべきとの申立てを棄却しており、Race Queen, Inc、ジム・ワトキンス氏側が勝利している状況です。

では、なぜ勝利した側が名称とドメインの変更に至ったのか?

もちろん複合的な要因があるとは思いますが、法的に考察するとポイントは商標権にあるのではないかと予想されます。

2ちゃんねる商標

現在、電子掲示板等に関する「2ちゃんねる」という商標は、西村博之氏が保有しています(登録5851035)。

この商標権は、前述のWIPOの裁定でドメインの帰属が決定したことはまた別の話であり、西村氏に無断で2chや2ちゃんねるといった名称で電子掲示板を運営することは、この商標権を侵害することになってしまいます。

この状態では安定した掲示板運用は困難でしょう。

5ちゃんねる商標

他方、「5ちゃんねる」の商標権は、2016年6月15日に出願されており、2016年12月9日に商標登録されています(登録5903023)。

出願・登録の名義人は 「ロナルド アーサー ワトキンス」です。

このロナルド アーサー ワトキンス氏は、Race Queen, Incの代表ジム・ワトキンス氏の息子であり、Race Queen, Inc運営体制の2ch.netにおいてハンドルネーム「Code Monkey★」として、運営にも深く関わっていた人物です。

5ちゃんねるへの名称変更により、商標法的にも何ら問題なく運営できる体制を整えたといえるでしょう。

Loki Technology, Inc.体制で削除や情報開示はどうなる?

おそらく実質的な運用変更はない

5ちゃんねるのウェブサイト上に掲載されている、削除ガイドラインについては、Race Queen, Inc時代と実質的な変更はなく、また旧運営側の人間が5ちゃんねるの商標権を保有していることを考えても、実質的な運用の変更なないものと思われます。

実際、当事務所でも10月1日以降、何件か”5ちゃんねる宛て”に削除依頼を行っておりますが、従前と同様に対応されています。

Loki Technology Inc.の登録は未了 裁判対応は注意

5ちゃんねるのガイドラインによると、「Loki Technology Inc.を名宛人とする裁判所の決定については、原則として従う。」との記載があり、裁判を行う場合にはLoki Technology Inc.を相手とすることが求められているようです。なお、この箇所は従前はRace Queen, Incの名称が記載されていた箇所です。

Loki Technology Inc.はフィリピン法人のようなのですが、フィリピン法人は、フィリピン証券取引委員会への登録が設立要件となっています。たとえペーパーカンパニーであったとしても登録しなければなりません。

しかし、フィリピン証券取引委員会のウェブサイトでは未だLoki Technology Inc.の登録が確認出来ない状況です(2017年10月6日時点)。

状況を予想するしかありませんが、一つの可能性として設立されてから間がないため反映が未了となっているのかもしれません。

なお、日本の商業登記制度でも、設立や登記事項の変更から1~2週間程度登記情報の取得が不可能となりますが、それと同じ可能性があります。

登記情報の取得が不可能な場合、日本の裁判制度ではLoki Technology Inc.を相手に裁判を提起することはできません(厳密にいうと登記なしでも裁判するテクニックはありますが、今回のケースでは使用できません)。よって、もう少し待ってみるのが得策という印象です。

現状ではなるべく裁判にならないように、公開されているメール窓口からの交渉で決着させる方向で、対処してゆくことがベストです。

どうしても今裁判を申し立てたい、ログ情報が消えてしまう!

発信者情報開示請求(投稿者の調査、特定)など、タイトな時間制限がある手続きの場合、登録が完了するまで裁判を待てない状況もあると思います。

その場合、一つの解決策として、サーバー管理会社を相手とする方法が考えられます。

なお、whois検索を使用して5ちゃんねるのサーバーを調べますと、アメリカ合衆国企業Cloudflare, Inc.の情報が出てきますが、同社は分散型DNSサーバーサービス提供者として、5ちゃんねる運営と各サーバー会社との間に入ってサービス提供をしている立場であり、実際のサーバー管理は行ってはいません。

よって、サーバー管理会社をCloudflare, Inc.に問い合わせるところからスタートする必要があります。

もっとも、5ちゃんねる側の公式なアナウンスとしてはLoki Technology Inc.を相手とする裁判所の決定には従うとのみ記載されており、他の名宛人に対する決定についての取り扱いは不明という問題点があります。

名宛人は違えど、一応裁判所の公的な判断が示されたという点を丁寧に説明して、5ちゃんねる運営側と交渉してゆくことが必要にはなるでしょう。

今後について

5ちゃんねるの運用や、日本の裁判所での取り扱いについては、今後流動的になることも考えられます。

当事務所では、最新の情報を随時発信してゆく予定です。


無料相談の申込はこちらから


弁護士延時千鶴子
お電話もしくはウェブフォームからお気軽にご相談ください。
被害を受けた方からの相談は無料です。専門の弁護士が解決策をご提案いたします。