風評対策のアカウンタビリティ

ABOUTこの記事をかいた人

弁護士中澤 佑一

弁護士法人戸田総合法律事務所代表。
ネット関連と知財案件を中心に活動しています。 主著【インターネットにおける誹謗中傷法的対策マニュアル】【「ブラック企業」と呼ばせない!労務管理・風評対策Q&A】

先日、法務関係の専門雑誌「ビジネスロー・ジャーナル」よりインタビューを受け、「企業における誹謗中傷・炎上対応の最新動向」という特集の一環として私のインタビュー記事が掲載されました。
その中で、私は、最近は結果よりも説明責任、アカウンタビリティが重要であることをお話させていただきましたが、その意味について少し補足したいと思います。

削除するだけでは不十分

風評対策が求められる背景の変化

従来は、ネットは信頼性がなく、ネットなんて無視しておけば十分といわれてきました。
しかし、徐々にネットも必ずしも信頼性がないわけではなく、信頼性の高い情報もあるとの認識が広まってきました。
この認識の変化に合わせてネット風評被害対策のニーズも広がってきたといえます。

そして、ここ最近の最新の状況においては、ネットの情報が正しいか正しくないかは無関係に、ネットに掲載されているネガティブ情報に対してどのように向き合っているかということが問われるようになってきました。

ネットの内容を信じている訳ではない

ネットの情報を真実であると考えている訳ではない。しかし、このような情報が出てしまうこと自体が問題である。御社はどのように対策を取っていくのか、また事実と異なっているとのエビデンスを用意してほしい

これは、私のクライアントのある企業が、金融機関から言われた内容です。
このように、事実としてどうなのかというレベルを超えて、ネットの風評にどのように対処してゆくか、ということをステークホルダーに対して説明してゆくということが求められるようになってきています。
ネット風評に対しては、無視する、放置するという対処方法もありえますが、これも最適解としてあえて無視を選択するということであればよいのですが、よくわからないので放置ではステークホルダーが許容しないケースが増えています。

特に、暴力団排除、反社会勢力排除の社会的な要請の高まりを受け、反社がらみの中傷に関しては、もはや無視・放置はありえない対応となりつつあります。
「反社と関係のあるフロント企業」等という中傷を漫然と放置している企業については、金融機関を始め取引を控える傾向があります。事実無根ならば法的に対処すべきとの認識が広がっているため、何もしない=真実なのであろうとの推認が働いてしまっている格好です。

専門家の役割の変化

エクスキューズとして

このような周辺状況の変化を受けて、我々専門家の役割も変化しつつあります。
これまでは、とにかく結果を出す、要するに問題の記事を削除できるか否かが問われてきました。

しかし、最近はこのような結果のクオリティに加えて、どのような手法を駆使したのか、そして、削除不能なものについてはなぜ削除できないのかの説明が重要になってきています。

特に、削除できない記事については、専門家に外注しても削除できない部類であり、現状の対処方法が最善策であるというレポートをまとめるための、いわばエクスキューズとして我々専門家のお墨付きが求められることが増えてきているように感じています。

担当者のリスク回避策として

最近は企業にとってもネット炎上は非常にセンシティブな課題ですが、炎上回避、炎上の鎮火は、実際にその場で担当する場合には少ない情報から暫定的な判断を繰り返すという非常に難易度が高い作業の繰り返しで結果の予測も困難である反面、事後的な分析ではミスを発見しやすいものです。
よって、炎上がひと段落した後の反省会では、ほぼ間違いなく担当者はミスを指摘され責任追及を受けます。
あとからでは何とでも言えるというだけの無責任な批判ですが、構造的にそのようになっています。

このように非常につらい立場に立たされる現場の担当者の方にとっては、自身の判断で炎上対策をすることは得策ではないでしょう。
外部の専門家を交えて検討することで、万が一失敗してしまった場合でも「できるかぎりやった」との主張がしやすくなり、対外的な説明も容易になってきています。

よって、近年は、「専門家に依頼した」という事実自体が重要になってきているようです。その関係で誰に頼んだかという、外注先の実績や経験に対する批評の目も厳しくなってきているのを痛感しています。
私どもも、そのようなニーズに応えるべく、実績を積み上げ、安心してお任せいただけるように精進したいと思います。


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弁護士延時千鶴子
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